Perfumeが教えてくれた、自分の心のバロメーター
ある日の『ねこすカフェ』。常連で音楽好きカナデさんが来店しています。
あるライブの忘れられないMCがあって…。
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Perfume『JPN』追加講演 日本武道館
ライブが大好きな私でも、記憶に色濃く残る講演はそう多くはありません。
でも、Perfumeが2012年に行ったJPN日本武道館の追加公演のことは今でも鮮烈に記憶しています。
日付は定かではありませんが、武道館追加公演4DAYSのうちの1日でした。
体調に不安はあったが楽しみにしていた日
この日私はあまり体調がよくありませんでした。
正確に言うと「体調」と当時は思っていましたが、実際調子が良くなかったのは心だったんです。
この数年後にわかる事ですが、私は何年も軽い鬱と正常な状態を繰り返していました。(今はもう、ほぼ全快していますのでご心配なく。)
それでも楽しみにしていたライブ。数日前に縁あって譲っていただいてチケットは、2階の最前列というメンバーも演出も良く見える最高の席。
ライブが始まってみると驚くほど素晴らしいステージでした。今思うと、演出と彼女たち自身のパフォーマンスの比率もとても良かったです。
この前年の3月11日に悲惨な震災が起こったもあり、様々なことに想いを馳せるような「祈り」を感じるライブでした。
内面から輝きを放つ3人
ハッキリ覚えていませんが、セットリストの後半の方だったと思います。
3人がステージに立って真っ直ぐ前を向き、あ~ちゃんがファンに向かって話し始めました。
「私たちは海外進出という夢のために、ずっとお世話になった事務所を出るという決断をしました。ものすごく悩みましたが、夢を叶えるために、チャレンジし続けるために踏み出します。
Perfumeの音楽と、日本の良さを世界に届けに行きます。そして、次に武道館に戻ってくるときに、もっともっと頼もしく成長していたいと思います。」
その姿は内面から輝きを放っているように見えたし、瞳は真っ直ぐ前を見据えていました。
真逆の反応をした自分の心
当日この会場にいたほとんどの人が、あの言葉に勇気づけられたでしょう。
しかしこのMCを聞いた当時の私の心は全く真逆に反応しました。
もう立っていられない程、押しつぶされそうになりました。
あんな素晴らしいステージを造り、茨の道を行こうと決めた3人の姿を見て、
「何もできていない自分。何者なのかもわからない、プライドだけが高く、結果も出せていない、取り繕うことだけが上手い、本当は自信が無くて踏み出せない自分。同世代でこんなに頑張って輝いている人たちもいるのに、どうして自分はこうなんだろう。」
こうやって激しく自分を責めたんです。
実際このMCのあと立っていられなくなり、少しのあいだ席に座っていました。
(後に知りましたが、いわゆる「鬱」の状態と単純な「落ち込み」の違いは、身体に反応が出るかどうかの部分も大きいそうです)
終演後の帰宅途中には、素晴らしいステージとあ~ちゃんの言葉、そして不甲斐ない自分の状況がぐるぐると頭の中を周っていたことを覚えています。
自分の心のバロメーターを言語化できるようになった
この経験から数年後、自分の心の状態をある程度測り、それを言葉で表現できるようになりました。
そのバロメーターは、本気で努力して結果を出そうとしている人を見た時の、自分自身の反応。いや、「反応」というより「反射」と言っていいくらい、瞬間的にどう感じるか。
そういう人たちを見て
・どうしようもなく自分を責めるような気持になるときは、心が疲れているとき
・私も一緒に頑張ってみよう、と素直に思えるのは心が元気なとき
鬱やそれに近しいときは「なにとはハッキリ言えないけれど、とにかく全部辛い」状態になります。
そういう中で自分心の状態を測るバロメーターが1つできたのはとても大きなことでした。
Perfumeにはずっと輝いていてほしい
ここ数年で彼女たちの作るステージは「ライブ」という空気から、大きなステージセットやIT技術の比率が高い「ショー」へとシフトチェンジしているように見えます。
こう感じるようになってから、私はあまり密に活動を追っていません。
でもふとテレビやネットで見る映像から、彼女たちが毎日延々と努力を積み上げていることがひしひしと伝わってきて、嬉しくなるんです。
そう、「嬉しい」と感じられるということは、今の私の心が健康なのでしょう。
最近また久々に彼女たちのライブを見たいと思っています。
今なら3人の目を真っ直ぐ見られる気がするから。
Perfume、ありがとう。
9nineのサマーチューンが描く、恋を通して成長する主人公の姿